理屈で買わない理由をなくす
あなたにもこんな経験はないでしょうか?
デパートに出かけたらすごくお気に入りの洋服を見つけました。デザインやサイズ感も完璧で感覚的にその商品に惹かれていて、欲しい!と思っています。店員にその商品についての説明を聞いた後いざ買う段階になると「いや、待てよ。今これを買うことが本当に正しいんだろうか?今、これが必要だろうか?」「もっと他に魅力的ないい商品があるのではないだろうか?」こんな疑問が頭をよぎり、云々と考えた後店員に「やっぱり、もう少し考えます」と伝えその商品を買うことを一旦は辞め、結局は考えなおすことはなくその商品を買わなかった。洋服は一例ですが、家電量販店で家電製品を買うとき、車を買う時、などなど買い物のあらゆる場面で、一度は欲しいと思った商品を後になって買うことを躊躇する場面を経験したことがあるのではないでしょうか?
なぜそのようなことが起こるのかというと、買いたいという衝動に反して買い物を躊躇するのは、それがいい買い物であるだけの正当な理由が不十分だからです。
前回も説明したように人は感覚で買おうとします。だから感覚にうったえるような広告やセールスを組み立てなければならない。ですが、人は口にこそ出さないが、この買い物が本当に正解なんだろうか?これを買って本当に後悔しないか?と言う疑問を持っています。誰しも自分の買い物に納得したいし、その買い物が正解だったと思いたいのです。
この疑問は解決すべきお手本のような疑問で、お客の頭にこの疑問が浮かんだら絶対に解決してあげなければいけません。そうでなければ、最後の最後に「やはり考えてみる」となり、もちろん考えるだけ、で買ってくれることにはなりません。
前回、お客が感覚で買い、理屈で納得することを書きましたが、感覚で買うお客であっても自分のする買い物が理にかなったものであると言う論理的な保証が必要になってきます。
そして、買い物を納得させるための理屈は商品の価格が高ければ高いほど必要であり、安ければ安いほど少なくてすみます。
まずは、お客が思いつきそうな疑問に対して取り上げることです。それにはお客との会話をする中でお客のニーズや欲求、不安点を聞き出すことも必要になるかもしれません。
そして、その疑問がわかったらそれを買うことが正解だと言える理由をしっかり説明しその買い物を納得してもらいましょう。
感覚にうったえろ
セールスでは感覚で売り理屈で納得させる。
人にとって感覚は、物を買う理由の基盤になる。
どんな言葉にも感覚的な意味合いがあり、ストーリーがある。
感覚で売ったら理屈で納得させる必要がある。
お客がその商品を欲しがる感覚的な理由を考え、それをコピーやセールスで表現してみる。
人は感覚で買い、理屈で納得する
ジョセフ・シュガーマンによると「感覚」について広告で覚えておくポイントは3つしかないとのこと。
1.どんな言葉でも、それぞれにある言葉を想起させ、何らかストーリーにする。
2.効果的なセールスは、いずれも言葉、印象、感情にあふれ、感覚に訴えかける。
3.感情に訴えて売る。ただし、理屈でその買い物を納得させる。
アメリカではベンツがよく売れるようですが、ベンツに限らず、機能性で言えば日本車でも充分に満たせる機能があるのにもかかわらず何故日本車の何倍もする高級車を人は買うのだと思いますか?
答えは、人は感覚で買い、理屈で納得するからです。
これはブランド物の服を買う人にも当てはまります。着心地、暖かさ、動きやすさ、機能性で言えば商店街や百貨店で安く買える服とも大して差はないシャツやジャケットよりも、その何倍もの値段がするブランド物の服を買うのは、そのブランドを所有することによってお金持ちに見られたい、そのブランドを所用するという選ばれた人達の仲間入りをしたいという感覚的な理由からです。ですが、じゃあそのブランドの服を買った理由は?と聞かれると必ず機能性だとか理屈の部分で買った理由を説明しようとします。
商品の広告を出すときやインターネット、対面販売で物を売る際は、感覚に訴えかけるような文章、セールスを書くことを心がけましょう。
お買い得感を与える
人はどんな人であってもその商品が本当にお買い得だったのか、値段相応だったのか知りたいと思っています。
先に高い方の商品を提示しておいて、その後に安い方(本当は売りたい方)を提示するとあとで出された安い方の商品をお買い得に感じるそうです。しかし、安い方を一番最初から提示するとその安い方の商品でさえも高く見えてしまうというものです。
僕も会社を経営しているとある知り合いから聞いた話で興味深い話があります。
その人が金融機関から資金の借り入れの交渉をする際にも、融資担当者に同じような提案をしていたようです。例えば、このくらい借りたいと言う希望金額があったとします。ですが、まず最初に融資担当者に提示する希望金額はこれは貸してくれないだろうと思われるくらいの高い金額を要求しそのあとで格安と思われる金額にまで下げて行くのだそうです。
こうすることによって、最初に要求した高い金額よりもはるかに安く見えてしまうので結果、融資がおりやすくなるのだそう。これを最初から安い方の希望金額を要求していたらそれすらも高いと思われたでしょう。
人は誰でもモノを買って得したいと思っています。そしてその買った商品を値段相応だと思いたいものです。
もちろん、ただ安くするだけではダメでなぜその商品がお買い得なのか、他社の製品と比較してどう優れていてお買い得なのかをしっかり説明できる必要があります。
お客様に対してお買い得感を与えられるようになりましょう。
誠実な人間であろう
この話は、マーケティングやセールスとは直接関係がないと思うかもしれません。
ものを売るためには行動心理学や購買心理学を学び、人の心を掴み揺さぶるキャッチコピーを考えれば売れるに違いない。あなたもそう考えているかもしれません。だから、「誠実な人間になろう」とかそんな精神論はやめて早くスキルやテクニックを学びたいと思うかもしれません。
ですが、いくら小手先のテクニックを学び上手いセールストークやコピーライティングスキルを使ってものを売り込もうとしたところで、その売り手が嘘つきやホラ吹きだったり大風呂敷を広げる人間であれば、お客様はあっさりと見抜いてしまうと思うのです。
僕自身も家電量販店や携帯ショップ、不動産屋に行った際に、セールスを仕掛けてくる営業マンの対応に不快感を覚えたことが何度もあります。言ってることは上手いんだけど、この人はなんか信用できないな。胡散臭いなと思ったことがあります。それは話している言葉の内容が云々ではなく、見た目や雰囲気、態度から伝わってくる何かがあります。あなたにもそんな経験が少なからずあるはずです。普段どのように生きているかということはその人の雰囲気に出てしまうものだと思うのです。
人間には直感とも呼ばれる第六感なるものが備わっていると思っていて、いくら口先だけで上手いことを言っていてもお客はそのセールスマンの誠実性を嗅ぎ取ってしまうのです。
普段から他人を騙したり嘘をつくことはないにしてもあなたは普段から約束を守っていますか?やると言ったことをきちんとやり約束を果たせているでしょうか。また、出来ないことを出来ると言ったり、自分を必要以上に大きく見せようとしたりしていないでしょうか。
自分は愛情に溢れたした人間だと言いながら影で人の悪口を言っていたり、仲間は家族だと言いながらその仲間に対して罵声を浴びせたりイジメとも言えるような行いをし、本当の家族には絶対にやらないようなことをする人間達を僕は知っていて困惑したことがあります。本当に愛に溢れた人間は自分のことを愛情深いなどと言わないし、仲間を家族のように思っているのならお前は俺の家族だなんてことは言わずに行動で示します。
そのほかにも体を鍛えると言って一向に鍛えない人。SNSでは金持ちそうな持ち物やライフスタイルを見せているのに実際の家系は火の車だという人。自分は紳士だと言いながら全然紳士的な行動をとっていない人。こんな人達を僕はたくさん見聞きしてきました。
要は「言行不一致」なんです。このような「言行不一致」な人間がいくら崇高なことや理想を述べていてもやがて人はその人間が本物ではないことを見抜きます。
今の時代はSNSやインターネットで自分を自由に表現しやすくなったぶん、自分を実際以上に良く見せようとする人間も増えたと思います。あなたもこれらのプラットフォームを用いて情報を発信したり、また他人の情報にふれることがあるかと思いますが、そうなるとあなたも見破り見破られる側になるのです。
あなたの商品やサービスをセールスする前に自分自身のことをよく振り返ってみましょう。普段から自分は約束を守っているか、発言と思考と行動は一致しているか、自分の発言や行動に嘘偽りはないか今一度見直してみましょう。
顧客の感情的ニーズを探る
顧客となってくれそうな人達が何を求めているのか、その人達、あるいはその人達をよく知る人達にヒアリングを行う。
合理的なニーズについてはひとまず置いておき、お客が感情的に何を欲しているのかをよく知る必要がある。
そしてお客のニーズがわかったら、自分の扱う商品とお客との接点を洗い出してみる。
自分の扱う商品がお客の感情的なニーズをどうすれば満たせるのかを考えてみる。
例えば、僕がよく飲むお酒を例にして、僕がお酒に対してどんな感情的なニーズを求めているか考えてみよう。
僕がお酒を買って飲む理由。それはアルコールを体内に入れてほろ酔い気分になることで「気持ちよくなる」ことを求めている。そのほかに思いつくこととしては、仕事の疲れを癒したい、現実から逃れたいという欲求がある。
そう考えると僕がよく買っている缶チューハイの缶に書かれている絵やコピーは僕の感情的なニーズを満たしてはいないのかもしれない!?僕が飲料メーカーのマーケティング担当者であれば、「爽快」とか「幸せ」とか、普段の現実から離れられそうなコピーを考えてみるかもしれない。
しかし、これはあくまでも僕個人のお酒に対する感情的な欲求だ。大切なのはお客から直接意見を聞くことだ。お客のニーズが分からなければセールスポイントを組み立てることはできない。